O次郎

朝鮮名探偵2 失われた島の秘密のO次郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

スチャラカ探偵奇譚第二弾。
今回の敵は人身売買と偽貨幣製造という、マフィア感満載の悪党。
主演のキム=ミョンミンとオ=ダルスの掛け合いはさらに磨きが掛かっていてつい声を出して笑ってしまう。

謎の美女の登場や敵組織の多重構造等、基本的骨子は前作と同じながら、今回ユニークなのは、島流しの罪の日々の中で出会った貧しい少女の存在。
拐われた妹の探索を依頼するため、主人公に撥ね付けられても甲斐甲斐しく身の回りの世話をしながら必死に食い下がる健気さは胸に来る。
それだけに、主人公が断固としてその願いを拒否した結果、その少女が敵方の犠牲となっての悲憤の中でようやく妹の救出を決意する件の焦ったさは、時代性も相俟ってなんだか金田一耕助シリーズのようなテイストも漂っており、よく言えば親近感のある作品情緒。

ただ、「信頼していた上司が実は事件の黒幕だった」という展開の繰り返しは正直飽きが来てしまった。
そもそもが、「権力者諸侯の汚職の蔓延を憂いた王がそれを正すための存在として史上初の探偵を生み出した」という設定なので権力上層の腐敗が世界観の肝なのはわかるが、それにしても例えば「物語冒頭で冤罪の憂き目に遭った恩義ある上司のためにその無実を晴らすべく調査に赴く」とか、或いは「濡れ衣を着せられた主人公が官憲から逃亡しながら、自らの潔白の証明と真犯人の解明に奔走する」というようなハリソン=フォードの『逃亡者』的筋立てにするなりして展開の拡張を図るべきだったのではないかと思う。
爆弾の多用の所為で主人公の頭脳明晰な印象が些か霞んでしまったのもちと問題。

ともあれ、近日国内公開の三作目に上記のような諸々の点の改善を期待する次第。
O次郎

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