Qちゃん

ジーザス・クライスト・スーパースターのQちゃんのレビュー・感想・評価

4.8
物事を違う視点から見ると、より真実に近い姿が見えてくるという事を痛感させられる作品。

キリストの最後の日々をユダとキリストを中心とした視点で描いたもので、
どれだけ人々の過度の期待がキリストを重圧し、彼を支えたいユダを苦悩させたのか、
キリストの存在の意味・彼の言いたかったことの真の理解者は誰だったかが、
従来のキリストの物語とはかなり違った側面から浮き彫りにされている。
(この視点の元祖は、太宰治の「駆け込み訴え」だとは思うけどね。)

またキリストを裁く側の人間達が持つ義務と呵責というものまで実に見事にカバーされている。

アンドリュー・ロイド・ウェーバーの音楽も素晴らしく、キリストやその周りの人々の魂の叫びは、ロックという形で斬新かつ力強く表現されている。

当初、映画版の演出が好きではなかったが、製作当時を反映して極端に演出されたその作風も、よりキリストを超人ではなく一人の人間として扱った作品の本質を表すのに役立っていると感じるようになった。

キリストやってる人がヤク中っぽく見えるのが少し気になるが、ユダ、ヘロデ、そして何よりこのピラトーが凄く好きだ!!
Qちゃん

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