あい

戦場ぬ止みのあいのレビュー・感想・評価

戦場ぬ止み(2015年製作の映画)
3.5
進む辺野古への米軍基地移設に抗議する人々のドキュメンタリー。

暑い日差しが照りつける沖縄で、必死に声をあげ、車に立ち向かい、道路に寝そべる人々。
彼らにどんなに罵られても、黙って立ちはだかる沖縄県警の人々。時々発する言葉も、ほとんど「危ないから」の一言だけ。
わたしはその様子を、不気味とも非情とも思えなかった。

「もうやめて!」と基地の工事現場に向かって激しく声をあげていた女性が、ふと「工事の人もさぁ、上に言われてやってるからとしか言えないよねぇ...」とつぶやくシーンが心に焼き付いてる。

この映画に写っているひとはすべて、権力の前には等しく微力な1人の人間なのだ。
わたしは誰もの心の声を思った。

それでも沖縄で抗議する人々は、目の前の人の向こうに見える、もっと大きなものに向かって拳をあげ続けるしかないのだ。
「どうしたらいいかな」「どうしたら止められるのかな」「ここに住み続けたいだけなんだ」と、方々から聞こえてくる切実な声のまえに、泣いてしまった。泣くことしかできない自分が悔しくてまた泣いてしまった。

微力なことを認め、しかしそれでも無力ではないことを信じて、できることから行動していく、くらいなのかな。いま、できることは。
あい

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