たく

優しい嘘のたくのレビュー・感想・評価

優しい嘘(2014年製作の映画)
3.8
ジーンと胸に染みた。娘を自殺で失った母親と姉が彼女の置かれてた状況を知って自分を見つめ直していく話。全体に地味ながら、丁寧な作りのおかげでだれることなく観ることができた。いじめをテーマとした重い話だけど、じめじめ暗い感じがないのが良かった。

平和に暮らすシングルマザーの次女のチョンジがある日突然自殺したことで、ヒャンソクも姉のマンジもチョンジの苦しい気持ちを全く理解してなかったことを知る。自殺の真相が次第に明らかになっていく中で、チョンジュの友達のファヨンの善人を取り繕う性根の悪さが怖い。彼女が言っていることがどこまで本当なのか終盤まで分からなくて、中盤から彼女がいじめの首謀者としてクラスからハブられていくのがヨンジュの二の舞とならないかハラハラした。いじめの明確な描写はほとんど登場せず、チョンジュがどれだけひどいことをされてたのか曖昧だったのはちょっとモヤモヤした。
ヒョンスクが引っ越し先にこの地を選んだ理由が怖く、やっぱり韓国は恨(ハン)の文化なんだなと思った。

ネズミ退治のシーンで突然「悲愴」ソナタ第三楽章が鳴るスローモーション映像にはびっくり。他にもヒャンソクに付きまとう元恋人の描写とか、時々入ってくるコメディ演出がいじめ問題の重さとちょっと不釣り合いだったけど、ムードが暗くなり過ぎないのはこのおかげかとも思った。ヒャンソクとマンジがそれぞれ心に折り合いをつけて前に進むラストはジーンと来たね。

ヨンジュ役は「優しき罪人」が良かったキム・ヒャンギで、抑えた演技ながら時折見せる笑顔が魅力的だった。母親のヒョンスク役のキム・ヒエは「ユンヒへ」に出てたんだね。マンジ役のコ・アソンは「グエムル」でデビューしたのね。号泣シーンが凄くて、もらい泣きしそうになった。
たく

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