ひさびさのグザヴィエ・ドラン作品である。
余命を宣告されたルイは10数年ぶりの家族との再会でも、周辺は薄々気付きながらも何か温度差があり、伝えきれないもどかしさがある主人公と相変わらずの家族模様を描いている。
唯一、マリオン・コティヤール演じる義理の兄嫁だけが血が繋がっていないために客観性があり、ルイの心のもがきを理解しているようであった。それは観ている私たちも同様の視点である。
ラストの時計と鳥の亡骸はある意味メタファーかもしれないが、映画製作における教科書どおりの優等生による方程式の解答だったので残念。
技術面では映像があまりにもアップが多すぎた。やはり引いて奥行きを出さないと状況が分かりにくくなり、一緒にストーリーにも深みが出ないのでそこは改善して欲しいとは思います。
私事で恐縮になるが、数年前にこのような状況になった事がある。家族や仕事関係者の反応は人によるものだと感じた。
自分の人生が終われば、家族や親友、スマホのレビューも一緒に消滅するだろうと思ったことがある。これは自意識過剰で主観でしか物事を考える事ができないだけと指摘された。ゆえに家族たちは残る事となり、そして終わりから新たな始まりといえるだろう。
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