なんかまたドランがカッコつけた意味深なタイトルつけとるやないか、っていうのと、ジャケ写の雰囲気から、スタイリッシュなSFかなんかだろうか？ と思って見始めたら、あまりにも予想外な内容で、正直、中盤すぎる頃まで、何やコレぜんぜん話が展開せえへんやないか！と退屈してたんやけど、期待してたものとまったく違う映画であると認識できてから、つまり、後半の中盤くらいから、ようやく楽しめ始めたので、こりゃもう一回見るしかないな、と思って二周目、最初からストーリーを追うではなく、人間観察モード。すると、いやいや、最初の最初からめちゃくちゃ面白い！！！ 主人公のルイは、家族との関係を絶って以来12年、劇作家として成功を収めていたが、不治の病で死が近いため、実家にそれを打ち明けにいく。そこでの家族と彼らひとりひとりとのやりとりを、ほぼリアルタイムのタイムスパンで描いていく。と言うわけで、ほんの90分足らずの小規模ファミリームービーとなっている。なので、ドラン特有のエモーショナルな没入感にどっぷり浸かれる。濃縮の一作。ただ、この映画、苦手な人はめちゃくちゃ苦手そう。なぜなら、まず、ほぼ全編、カメラと人物の距離が近すぎる。1回目見たときは、それが少々息苦しく感じられて、うまく映画に集中できなかった。が、2回目では、彼らの表情の細部の細部まで、しっかり見つめながら見ることができたので、これは確実に見る前にどういう類の映画なのか知っといた方がいいな、と思った。1回目でコレムリ🤮ってなった人も、2回目見るとかなり見え方が変わると思われます。とにかくみんなの演技がすごい。主人公を演じるギャスパーウリエルは、久々の家族の反応をただただ受け身でうっすら反応を見せるくらいなので派手さはないが、他の人たちはみな感情をひたすら爆発させる。個人的には、お兄ちゃんに会いたくて会いたくてたまらなくってようやく会えた、幼児にしか関わってないからほぼ初対面くらいの妹シュザンヌを演じるレア・セドゥの演技がすごく好きだった。最後すがるように涙を流しながら感情むき出しになる演技はほんまにかわいそうやった。あと、ルイとは初対面の兄嫁、カトリーヌを演じるマリオンコティヤールもイイですね！ 家族と話を合わせようとしてぎこちなく、うっすら自己主張もするんやけど、旦那にすべてメタメタにされて、なすすべなくして呆然としてる様子が印象的。光が当たった目の感じがすごくよかった。そして、お兄ちゃんのアントワーヌ、感情的で、イラチで、口を開けばすぐ嫌なこと口にしてしまう、見れば見るほど、実はこの中で一番かわいそうな人であることよ！ いったいどういう心持ちなのかいちばん見えにくいのはお母さん。いろんな気持ちを抱えながらも、ただただ外面を取り繕って、表面上楽しく過ごせればいいと思っているのだろうか。もう年だから、問題を突きつけられるのは疲れるのよ、面倒なのよ。でも愛してるのよ。そんな感じだった。そして、ルイ。ボクは、本作でいちばん問題ありなのは、実はこの人なんじゃないかなと思います。思春期のときに、何があったのかは分からんけど、んー、いや、ある程度は察しがつくか……やし、確かに家族みんなのどうしようもない不調和が疎ましいのもわかるけど、彼が最終的に出した結論にはまったく賛同できないし、最後の鳥時計の鳥のように、自由を求めて飛び出した先にあるものは、本当にあの鳥のように終わってしまうかもしれない。それでええんか。先日、ボクが心の底から愛するある人物が、あまりにも長く続いていた母と祖母の間の不和が、ある日ふたりが心を開いて話をすることで緩和し、関係が改善した、と話してくれた。それを聞いて、心の底から感動したものだった。人間にほんとうに必要なのは、心を開くこと。でもそこにある本来心配する必要のないわだかまりを、人はなかなか飛び越えることができない。それをある日ヒョイと超えるためには、本当に信頼できる人の愛とケアから得られる、安心感が必要なんだろうと思う。そう考えるとルイもかわいそうや。まだそういう人に出会えてないのかもしれんもんな。ほんま人生って運の要素がでかい。運こそが人生を動かしてる。運を自分の味方につけるしかない。そして、実に難しいことに、上記の子の母と祖母の関係は、また以前の良くない状態に戻ってしまったらしい。悲しいことだ😭 でも人生は、ひとまず終わりが来るまでは、時間がある。その分だけ希望もある。何とか和解できたらいいな。と、話はそれましたが、いやー、それにしても、まさか映画でマイヤヒ〜マイヤフ〜マイヤホ〜マイヤハッハ〜🕺🎶を聴くことになるとは思ってもみませんでした。しかも、その曲を聴きながら、つつーと涙が頬をつたうことになるとは😭 またまたやってくれましたドラン！！！ この人のエモやっぱ好きやわー！！！😍 また見ます！
