Soshi

たかが世界の終わりのSoshiのレビュー・感想・評価

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
3.5
「It's only the end of the world 」
「たかが世界の終わり」

本タイトルを何度頭の中で繰り返し、
本作の内容を何度想像しただろうか。
どんな作品か詮索をせず鑑賞したが、今回も新たなグザヴィエ・ドランのセンスが垣間見えた。
”たかが”一本の映画ではあるが、侮ってははいけない。彼が本作に残すメッセージがひしひしと押し寄せてくるのだから。それも鑑賞後に。一日経っても頭の中で巡っている。

豪華俳優陣を配役し製作された本作は、そのタイトルの衝撃もあってか、これまでよりも注目度が高い。しかし本作は、淡々とエンディングを迎える展開・会話中心の内容で構成されているため、頭の中をかき乱すような展開を期待した観客に違和感を感じさせるかもしれない。
ただ、本作における”世界の終わり”は生物学的な意味合いでも天文学的な意味合いでもない。個人個人が自らの心の中で考える"世界の終わり"なのである。主人公にとっての"世界の終わり"は人生の終わりでもあり、12年の隔たりを作ってしまった家族との絆の終わりでもある。つまり本作の内容はドランのメッセージを具体化するツールの1つとして機能しているだけなのかもしれない。
ゾクゾクするようなBGMと、美しいカメラアングル、キャスト全員の狂気に満ちた演技に心酔すること間違いない。

グザヴィエ・ドラン恐るべし。爪の垢を煎じて飲んでみたいほど。
Soshi

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