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たかが世界の終わりのalmosteverydayのレビュー・感想・評価

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
3.5
いや、つらかった。ほんの一瞬のようでもあり永遠に終わらないようにも思えた99分、終映後は全身ぐったり疲れてました。ふいー。

人気劇作家のルイが12年ぶりに帰郷する理由、それは「もうすぐ死ぬ」と家族に告げるため。母と年の離れた妹、兄とその妻。主な登場人物はこの5人だけで、バストアップどころじゃない画面いっぱいのアップショットが延々と続き、ほとんどの場面が息詰まる会話と沈黙で構成されているためスクリーンから発せられる圧がとてつもなく大きいのでした。実家への到着時刻を知らせるのどかな鳩時計の音は、後になって思い返せばまるで試合開始のゴングのようだった…。つらかった…。

とりわけつらいのは感情を露わにする家族ではなく、初対面でこの鬼気迫る場に居合わせるはめになった兄嫁の存在でした。もしも自分が夫の実家でこの状況に追い込まれたら…?と感情移入してしまい、それだけで胃がきりきりと痛かった。つらい。つらいよ!

終始重たいトーンと汗ばむ陽射しに彩られた本作で唯一、ちょっとした笑いが起こったのは中盤のこと。家族の思い出のひとつとしてとある過去のヒット曲が流れた場面でした。それかー、よりによってそれかー。いや、決して笑いどころじゃないはずなんだけど、ここ日本じゃどうしたってこうなるよね仕方ないよね、って気がしたんでした。このままずっとオシャレかつ先鋭的かつ重苦しい感じで進むのかな、と思ったのでほんのちょっとだけほっとしたよ、という話。
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