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たかが世界の終わりのこどものレビュー・感想・評価

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
4.4
これは...久しぶりに...

登場人物5人のシンプルな会話劇にも関わらず、会話劇にありがちな中弛みを全く感じさせない。(作品自体は短めであるが)おそらく、感覚に訴えかけるような優れた映像表現の賜物である。
カットインされる回想シーンが非常に効果的に作用している。というか見せ方が上手い。エモーショナルで、独特な色遣い、視覚的に印象深い描写をフラッシュバックのように次々と繰り出されると、トリップしたような感覚にさせられる。まさにルイの過去を追体験するようだった。

【以下ネタバレ?あり】
オープニングに流れる「Home is where it hurts」では、「家」に対するネガティブなイメージが歌われる。既にここで観客に穏やかではない先行きを予感させるのだが...
予感は的中し、家族への告白どころではなくなってしまう。いがみ合って罵声を浴びせ合う家族の醜態が描かれる。そんな中、ルイの死の気配に気がついたのは、唯一血の繋がらないカトリーヌだけだったという...

「血の繋がり」という言葉には、どこか神秘的で、絶対的なものを感じさせるものがある。だけど、そんなものは幻想だ。
ルイがトイレで電話していた相手、「家族に打ち明けるのが怖い」と弱音を吐いた相手だ。彼とルイは血の繋がった家族ではない。ルイにとって大切なのは、どちらだろうか。

物語のラストシーン、鳩時計という「家」から飛び出した小鳥のシークエンスが全てを象徴していたように思う。