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たかが世界の終わりの東京キネマのレビュー・感想・評価

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
3.5
最近珍しく秀逸な邦題。これじゃあ、映画好きは見ちゃいますね。芝居上手な4人のガチ芝居です。老練なヴァンサン・カッセルが突っ込み役で、若手二人は受け役。それに解毒薬としてマリオン・コティヤールとバランスがいい。カンヌでグランプリを取ったのは鑑賞後に知った次第。そうだよなあ、これは賞狙いだよなあ、と納得。

これね、面白いのは嫌味な長兄(ヴァンサン・カッセル)が実は一番センシティブな人間じゃないかと思えるほど、弟ルイ(ギャスパー・ウリエル)が家族のことを何も考えてこなかったんだろうなあ、というのが徐々に見えてくるところ。おそらく、長兄は弟が何を話しにやってきたかというのは大体分かっていた筈。12年振りにいきなりやってきて、何だそれは、になるのは決まってます。

前フリとオチは見えているので、あとのストーリーはお客さんが埋めてくださいということなんでしょうが、これ、不幸な奴はいっぱいサイド・ストーリーを膨らませることができるけど、幸せな奴は何が何だか分からない、が後で気付くというのがこの映画の仕掛け。アングルも決まっているし、映像設計もしっかりしているんだけど、舞台劇仕様の原作だからか、抜けの画が全くないので息がつまります。

いい映画なんですけどね、ちょっと精神が安定している時でないと、このヘビー感は受け止められないかなあ。。。
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