キミシマムザ裕君

ハーモニーのキミシマムザ裕君のレビュー・感想・評価

ハーモニー(2015年製作の映画)
3.5
個人の健康を完全に管理・監視することで平和をもたらしていた新たな政府が主になってきた近未来で、突然同時多発的に複数の人間が自殺を図るという事件が発生して……

34歳という若さで亡くなった天才SF小説家伊藤計劃。
その彼が遺した長編小説三作を劇場アニメーション化する企画
「Project Itoh」
第二弾を飾るのは彼が病没前最後に遺した長編小説


【ハーモニー】


優しくて平和な世界で起きる残酷な物語。
伊藤計劃が病気でこの世を去る前に自分なりの救いや答えが欲しかったんじゃないかと思えるような作品だ。
小説は既読で鑑賞に挑んだわけだが今回は前作『屍者の帝国』ほどの改悪は行われずに原作に忠実にに作られたように見受けられた。
美麗な映像、静寂な雰囲気、どこか殺伐とした近未来の世界観は映画に没入しやすくもあったが、何度か意識が飛んでしまったことも正直に告白しよう。(自分のコンディションもあるが)

健康を完全に管理された社会。
技術が飛躍的に進歩した世界で、プライバシーがなくなる程に政府が個人に干渉していくことは果たして幸福と呼べるのだろうか?
寿命が驚くほど伸び、若さも保つ事ができ、病気や怪我で死ぬこともほとんどない素晴らしい未来は一見ユートピアのように見えるが主人公の目にはどう見えていたのか…
そして主人公に影響を与えていたカリスマ的な友人ミァハの目には…
そのあたりに注目して鑑賞すればこの小難しい映画もすこし理解出来るかもしれない。
しかし相変わらず初見の方が観るには少し難しいのではないかなと思う。
また『屍者の帝国』では原作になかった"ホモォ描写"に苛立っていたが今作は女性同士の"レズゥ描写"が目立っており呆れてしまった。たしかに今回の場合は原作にそんな雰囲気はあったけど露骨すぎるだろぅ…まぁホモよりは絵的にアリなんだけ(ry
ゲフンゲフン。
ちょくちょく出てくるグロ描写等は手を抜いていなくて良かった。
とりあえず小説を読んどいた方が理解は深まるだろう。


-向こうの世界では銃が人を殺した。
こちらの世界は優しさが人を殺す-

あなたは生きる上で"自分が自分でいられること"をどれほど重視しますか?
この映画から何かを得ることができるかもしれない。

〜オマケ〜

本来は二作目になるはずだった作品は彼のデビュー作
『虐殺器官』
であって今作はその次のラストを飾る予定だったのだが、制作会社が倒産だかなんだかした関係で公開が無期限の延期になってしまったという経緯がある。
個人的には三作の中では一番お気に入りの作品で、映画化した時に一番画面的に映えるのが『虐殺器官』だと思っているのでどうにかしてだけ公開してもらいたいものだ!!!(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎


SFが好き、アニメ映画が好き、伊藤計劃の小説好き、そして管理社会に嫌気がさしてしまう人にはオススメの作品。