MasaichiYaguchi

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオスのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.7
キューバの音楽・ソンと、そのソンを魂を込めて歌う「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の老ミュ−ジシャンに魅了されたヴィム・ベンダース監督によるドキュメンタリーの前作から18年の時を経て登場した続編は、その後のメンバーたちと、彼等のラストステージとして行われた「アディオス」世界ツアーの様子を追っていく。
キューバの激動の歴史と共に描かれる「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のメンバー夫々の波瀾万丈な歩み、高齢になってから世界的に大ブレイクした彼等は正に遅咲きの最たるものだと思うが、スクリーンを通して人生の年輪を重ねた〝厚み〟や〝滋味〟を含んだ歌や演奏が心の深いところに響いてくる。
本作は前作よりそういった点が更にエモーショナルに、ドラマチックに感じられる。
この続編では印象的なエピソードが幾つもあり、その中でも50年以上キューバが国交を断絶していたアメリカでの初公演が〝ハイライト〟だと思うが、バンドの生みの親である世界的なギター奏者ライ・クーダーとの再会をはじめとして、ユーモアを交えながらも華やかで心熱くなる場面が出てくる。
そして本作で何度も出てくる言葉「人生の花は誰にでも必ず訪れるよ」に
込められた真意、そこから感じられる人生の意義、本当の幸せとは何かということに思いを巡らせてしまいます。