Lisn

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオスのLisnのレビュー・感想・評価

4.0
「1950年代のキューバの大物ミュージシャンを集めたビッグバンド」という予告を見て、観に行ってきました。

この作品、前作があることを知らなかったんですが、レビューを見てるとここから観始めても良さげですね。

前作はこれから観ます。

音楽に造詣も深くなく、キューバの歴史なんかも全然知らなかったんですが、最近、1950年代のアメリカのロックについての本を読んでいて、ちょうど、1950年代の音楽に関わるということだけで、観てきました。キューバの場所も知らずに……
というのは観てももったいなさすぎるのでは……?ということで、キューバの歴史と場所をさらっと確認して、観に行きました。
キューバの歴史はなんとなくいれて行ったほうが、映画を楽しめるかと思います。ところどころで、なんとなくああ、こういうこと言ってるんだ、と分かるので。

1950年代のアメリカのロックについての本で、1950年代のアメリカでは人種差別がまかり通っていたと書かれていたけれど、キューバの首都のハバナもそうで、そんな中で一番、流行ってた黒人の社交場の名前がブエナビスタソシアルクラブだったんですね。

映画を通して、私は同じ女性ということもあると思うんだけれど、節々でオマーラに感情移入をしていました。最初の問いかけの言葉も、グッと来てしまった。オマーラは力強くて女っぽくもあり、すごく美しかった。そんな風になれるようにしっかりと生きていかねば。ねばと。
最近、TEDで、トレーシー・エリス・ロスのスピーチをみたんだけど、彼女と同じようなの芯の強さみたいなものをオマーラに感じました。

私が想像するよりも、はるかに人種差別が厳然と存在している世界で、でもそれだけじゃない世界。そんな1950年代のキューバを生きて、今に繋がって、生きている(いた)のだなあと感じた。
メンバーの1人が、音楽を奏でたとき、「また、自分の国に触れた気がした」って言っていたのは、なんかすごく本質的な気がして、ハッとした。音楽を知るというのは過去を知り、歴史を知り、その国に触れることなのかもしれない。
映画を通して演奏される音楽は、色がついているように鮮やかに見える。そして豊かだ。
それは音楽を生きる力にしてきたメンバーの強さなのかもしれない。

最初の公演の1時間前の楽屋の雰囲気が、すごく良くて、リラックスするときも音楽を歌うんだなぁ、と。
音楽が好きで披露して、その披露する前の緊張とかそういうものをリラックスさせるのも音楽って、本当に音楽に生きている人だな、と感じました。

コンパイは音楽にたいして、すごく真摯で、練習のときにコードで揉めてた空気感は、自分が友人と楽器を演奏していたときの雰囲気を思い出して、なんか、あーわかるー。みたいなところとか、マルコスが入りを何度も、やり直すときとか、それにうなずくイブライムとか、みんなで演奏するとそうゆうことあるよね。というシーンをしみじみ観てしまいました。

一番印象的なシーンは、コンパイが、少し歌って、「それが人生」っていうシーンは最高にかっこいいし、フィクションじゃあれはありえないくらいクールでした!

オマーラがイブライムの最期ライブの命日だって言って「二本のくちなしの花」の歌をうたってたのがすごい、愛だなって思って、好きとかそういうのではなく、一緒に時間をくぐり抜けてくれた仲間としての愛をとても感じた。

そうゆう愛は、きっと本当に自分を、そして人生を、豊かにしてくれるような気がした。

この映画を通して感じたのは、音楽ってやっぱり力強くてすごいんだなぁと。

コンパイが、「蕾がついたら見逃さないで咲かせないといけない」って言ってた。人生で花は一度だけ咲くらしい。

あと、イブライムの最期のライブで被ってたカンガルーのロゴの帽子がかわいかった、欲しい。
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2018.7.28 Fri    TOHOシネマズシャンテ(日比谷)にて。
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