メル

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオスのメルのレビュー・感想・評価

4.0
前作の「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のメイキングの様でもあり、メインメンバーの生い立ちが聞けたり若い頃の貴重な映像も見られた。

12歳で母を亡くしたイブラヒムが70歳になっても母親の形見の杖を身に付けてステージに上がると言う話は胸にきます。

ジャズやロックに押されて低迷していたキューバ音楽が1997年のCDをきっかけに改めて世界中で注目され、ワールドツアー、ホワイトハウスでの演奏会へと。しかしオバマ大統領との記念写真には大御所達の顔は無い。

あの大御所たちは死の2週間前とか4日前までステージに立っていてその映像も感慨深かった。

国交正常化と言われたのも束の間...政治によって再び音楽にも壁が出来てしまうのでしょうか。
89歳で今も歌っているオマーラは「人の命を奪うことは出来ても人が歌うことは奪えない」と言ってます。

バンドマスターが最後に言っった「遅咲きだったけど確かに咲いたよ」という言葉が、長い不遇の時代を経て人生の最後に大きく花開いたメンバーたちへの拍手の様でした。

キューバの風と熱が伝わって来る映像とあのリズムが未だ暑い夏の終わりにぴったりでした。
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