SHIROHITO

COBAIN モンタージュ・オブ・ヘックのSHIROHITOのレビュー・感想・評価

4.2
『Cobain : Montage of heck』

27歳で亡くなったアーティスト達の総称「27 club」。その中で最初に頭に浮かぶ人、カート・コバーン。当然か。中学からどれだけNirvana聴いたか。自分が27歳になった時「とうとう同い年になっちゃったよ」って思ったもんです。

そんなカート・コバーン、Nirvanaについての記事やドキュメンタリーは沢山あって色々見たけど、ここ数年は全く見たくなくなっていた。食傷気味なのもあったし。けど一番はベストやら未発表曲集のリリースが何度もあったことで、会社や妻コートニーがファンを喰い物にしている、カートの死を利用してるというメディアの記事の通りに感じるようになったから。うんざりして見たくなくなった。

それなのに、期間限定で公開された本作は何故か引き寄せられるように足を運んでしまった。そしてそれがとてもラッキーなことに自分が今まで抱いていたイメージを壊してくれることになった。
はじめに言うと、本作で語られていることが嘘か真かは分からない。ただこういったドキュメンタリーでは絶対といっていい程出てくるライターやエンジニア、リポーターやらの関係者が一切出ない。出てくるのはほぼ遺族だけ。カートの母親、父親、妹、継母、有名な元カノ、そして元メンバークリス。そして製作総指揮に娘フランシス。
これだけでコバーン家公認なのはわかるし、なにより証拠も沢山提示される。そして語られるのは彼が残したロックの功績ではなく彼そのもの、1人の男の素顔なのだ。

映像は赤ちゃんの頃から存在していて驚いた。とても幸せそうな幼少期から、ADHDと診断され、両親の離婚、周りからの孤独に苦しみマリファナに溺れ音楽に出逢う。癒えない心の傷や家族への憧れ、愛を求め音楽に明け暮れ色々な物を拒絶して掴んだ成功。だが対応しきれない程のあまりに大きい成功に苦しみながらも、コートニーと出逢いようやく得た家庭と愛する娘。
彼のメモや日記、イラスト、肉声やホームビデオがふんだんに散りばめられていて、当時の彼の心境があらわに映し出される。自殺未遂や日記の文に泣きそうになり、何度も聴いたはずのMTVのアンプラグドでの「Where did you sleep last night」でもう耐えられなくなった。
それでも彼には家族があった。ホームビデオでコートニーとふざけ合って笑ってる姿や、面食らう程優しく娘フランシスに接している姿、家族3人で団欒している姿が、これ放映していいの?って思ってしまうくらい飾ってなくて、パーソナルなものばかり。笑っちゃうよ、あの子煩悩さは!こんなにも妻と娘を愛した普通の男だったんだと今更痛感した。
これを見る限り、当時の彼を支えていたのは間違いなくコートニーとフランシス、この2人の存在だった。
結婚してから誤解を受け様々な人から非難を受けていたコートニーのことで、カートがこんなに悩んでいたとは…。
LIVEで観客に向かって「コートニー愛してる!とみんなで言ってくれ!」と言い、それに応えた観客に「ありがとう」と笑うカート。ごめん。正直自分もクソビッチだと思ってた……本来なら自分もカートを苦しめる側だったことに気付き恥ずかしさと悔しさですごく申し訳なく思った。実際コートニーは色んな問題あるだろうし、映画はいい面しか写してないのだろうけど、メディアで騒がれていたような不仲説は(作中では)なさそうだし、メディアは悪い部分の誇張や嘘ばかりなのを再確認した。少なくとも事実として、コートニーよ、カートを夫や父親にしてくれてサンクス。。。

親戚にたらい回しにされた幼少期、いろんなものに傷付き、愛を求め、失う怖さから全てを拒絶し、やっとたどり着いた自分の居場所。溢れかえった批判や憶測の記事じゃ分からない、カートっていう人間を少し近く感じれる映画でした。

当時からだいぶ時間もたってるし、遺族の記憶も風化されいい物になっているだろうけど、これはファンなら絶対観た方がいいと思います。これ以上内面をさらけ出した作品は出ないでしょう。

期間限定公開の本作はソフト化されるのだろうか?って思いながら「In utero」聴きつつ帰りました♫

(´-`).。oO(映画の感想か?これ。って内容と凄く長くなってすいません。


〜蛇足〜
昔BSで一日中ロックの殿堂番組やってて、VHSに録画して特に何度もNirvanaの部分観てたんだけど、
後に倍速とかの計算ミスってその部分に違う番組録画して半分くらい消えた時は発狂したw。今じゃテープもどっかいっちまったし、もう一回あれが観たいー ( ´д` ;
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