3.11の震災によって仮設住まいを余儀なくされた福島浪江町の中学生が、終戦の年にソ満国境に取り残された中学勤労動員の逃避行の歴史を辿る物語。
夏八木勲さんの遺作でもある。
原作をそのまま映画にできそうなのに、なぜわざわざ浪江の中学生をクロスさせるのか、最初はなかなか分からなかったが、終盤徐々に見えてきた。
自分のルーツや帰るべき場所を失う恐怖。
絶対に皆で帰るのだ、と歩き続けた彼らの思いを想像しながら、浪江の中学生もまた自分のふるさとを思う。
正直に言えば、設定にだいぶムリがあるし、つっこみたいところは多々あって、決して上手い映画とは言えない。
でもたくさんの人に観てもらうべき作品だと思う。
田中泯さんが素晴らしかった。