黒羊

ソ満国境 15歳の夏の黒羊のレビュー・感想・評価

ソ満国境 15歳の夏(2015年製作の映画)
3.2
「ソ満国境 15歳の夏」

8月だから12月だから戦争映画を観るのではなく、日本が、世界が戦争をした歴史を忘れない為に常に戦争映画を観るのである!


1945年の終戦時、ソ連と満州国の国境付近に取り残された少年開拓団と、現代、福島原発事故で仮設住宅暮らしの中学生達が中国に招待されて映画を作る話しが交互に展開する。

結論から言うと、中学校の社会の授業で観せられるような映画。
満州国の日本軍、「関東軍」の酷さや朝鮮半島からその先に進軍して領土化した日本を叩くような左翼的内容ではある。
ツッコミ所も凄くて…うーん爆笑必至の中々な映画である!

満州国境に取り残された少年達にスポットを当てれば良いのに、現代の少年達も描こうとするからまぁ中途半端。
福島原発の件と満州国での人々を重ね合わせて描くのはやっぱ無理ありまっせ。
映画を通して言いたい事はまぁ分かるけど…

過去の日本の戦争はバカな戦争だが、本土軍部も関東軍も、国力無い資源もない当時の日本が孤立してアメリカ他と戦争しても勝てる訳が無い、と今の視点で言ってしまうのは愚か。当時は植民地は普通にあり、帝国主義の世の中ですからねぇ。

勇敢に戦って亡くなった英霊を一括りにして貶す事は断じて出来ないが、当時の軍上層部、政治家、特に満州国に日本国民を置き去りにして逃げた関東軍や上層部には「クソ」と言ってもええやろ。

俺のオカン一家は、この映画で描いている「満州国」から、奇跡的に命からがら本土へ逃げれた。
(満州国から本土へ逃げた人々の地獄は是非調べて知って欲しいです)
満鉄社員だったおじいちゃんは赤紙来て兵になるも、「不可侵条約」を一方的に破って攻めて来たソ連軍の捕虜となり、「シベリア抑留」で、亡くなった。


この映画のように「戦争は悲惨」というメッセージを「稚拙」ながらも伝えるのは、まぁ意味がある。

昔も今も、日本の上層部はクソで、平気で下層部国民を見捨て、私欲を満たす。

それは昔も、現代の日本でも変わらないので…
もう「日本人のDNA」なんでしょうかねぇ。


このようなヘンテコ映画を観て「日本が悪い」「戦争は悲惨」ではなく、

「日本の何が悪かったか」
「失敗をした日本人、失敗の内容」
を考えるようにならないと、と思った。

あと、福島の状況や原発はどうなっているのか気になる。オリンピックやってる場合なんかなぁ。
黒羊

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