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彼女が目覚めるその日までの小のレビュー・感想・評価

彼女が目覚めるその日まで(2016年製作の映画)
3.4
女性記者スザンナ・キャラハンの闘病記を映画化したドラマ。この映画のポイントは彼女(クロエちゃん)が冒されている難病の原因が何かを突き止めることだから、その点を知らない状態で見るほうが良いのではないかと。自分といえば、映画館に掲示されている新聞や週刊誌の記事を読んでしまったので…。

とはいえ、知らないで見ても面白いかと言えばどうだろう? あまり感動できないのは、日米の価値観の相違なのかしら。

この映画のマイテーマは難病の克服でも、タイトルとチラシにあるような彼氏と彼女の愛でもなく、患者側と医師側の対決。病気の原因を突き止めることができない医師たちを、患者の親族と彼氏はまるで敵とばかりに責め立てる。医師たちが不誠実というわけではなく、彼らの能力では原因を突き止めることができないだけだと思うけれど、患者側はもっと徹底的に調べて原因を教えろと譲らない。

その結果、ある医師が分を超えた、やや無理スジな行動にでる。このきっかけとなるシーンが、その医師と患者側のある人との2人きりの会話。感動的に演出していると思うけれど、患者側の人の言っていることはひどいのではないかと思う。医師は患者を純粋に助けたいというよりは、傷つけられたプライド回復のためにも何とかしなければという感じにも思える。患者側としてはそれが狙いなのかもしれないけれど。

患者側がさすがに歓喜の雄叫びはあげないけれど、心情的には「やった、勝ち取った」みたいな感じなのかな。そうでないだろうと思うけれど、あれだけプレッシャーを与えた患者側と医師側の関係がどうなったかが描かれず不満。

要するに、散々悪態をついた相手に助けてもらう物語にカタルシスはあるのか、ということだと思うけどどうだろう。助けてもらう? 何それ? あいつら(医師側)のサービスが悪いだけじゃんってことですかね?

患者側と医師側のこういう関係って、自分にとっては違和感でしかなく、イマイチノレない理由ではないかと。この映画を見た人が思うことは、大切な人が難病に陥ったら医師が怠けないよう徹底的にプレッシャーをかけなければいけないんだ、ということなってしまうのではと。

ひょっとすると、本作はアメリカ医療制度の闇を描いているのかもしれない。「医は仁術」であって欲しいけれど、彼の国では「医も算術」が医師側だけでなく、患者側にも徹底しているのかもしれない。

●物語(50%×3.0):1.50
・ノレないながらも、患者側の態度は興味深かった。

●演技、演出(30%×4.0):1.20
・クロエちゃんなので。

●画、音、音楽(20%×3.5):0.70
・画はよろし。
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