和桜

彼女が目覚めるその日までの和桜のレビュー・感想・評価

彼女が目覚めるその日まで(2016年製作の映画)
3.9
原因不明な病を安易に精神疾患扱いしようとする医師達。そんな病院側に抗い続けた家族の物語。地味だけどかなり丁寧で良い映画。
観てる側としても何の病気か分からないし、クロエ・グレース・モレッツの行動もどんどんおかしくなっていって、これはもしかしてスリラー映画というオチなのか?と怖くなった。

最初は患者の話をろくに聞かないヤブ医者相手で、同じような経験がある身としては心苦しくなる。
家族の頑張りで見てくれる医師の数も増えてくるんだけどそれでも分からない。ここまで検査したんだから精神病院へ送りたいという医師達の判断も分からなくはない程、彼らもまた悩み話し合ってる。医師を一方的に悪人にせず、そういった描写を入れてるのは実話らしくて素晴らしい。
そして、原因不明の病を抱えた患者達が「長い歴史の中で双極性障害や統合失調症や精神病と診断され苦しんだ人がどれほどいたか」という問題提起も。
結局何だったのかという点については、実際の映画を観て欲しい。

いやしかし、あの医者のあの登場セリフ。
「きっとあなたを治してみせる。僕はあなたを傷つけないし、騙しもしない。だから一緒に頑張ろう。」
こんなん医者から言われたら泣いてしまう。不調に悩んでる人間にとって、医者や看護師から見放されたり嫌味や皮肉を言われることがどれだけ辛いことか。
こんな医者が一人でも増えてくれればな。と映画になるほどの医者と出会えない自分は何度も何度も強く思ってしまう。
和桜

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