木村優希

500ページの夢の束の木村優希のレビュー・感想・評価

500ページの夢の束(2017年製作の映画)
2.5
好きなもののもたらす力は想像を越える。

『スタートレック』好きの自閉症の主人公が、『スタートレック』の脚本コンテストへ自作の脚本を提出するためにハリウッドへ向かうロードムービー。

主人公と姉の関係。
ソーシャルワーカーとその息子の関係。
この二組のドラマと、主人公の「好きなものの為に起こす行動力」「好きなものがもたらす想像力」が大きく関係してきます。
『スタートレック』、私は映画版(最新のビヨンドのみ鑑賞済み)しか知らないんですが、『スタートレック』自体はそこまで重要、というわけでもないです(もちろん知ってたらもっと楽しめるけど)。

書き上げた脚本=主人公ウェンディ自身であって、それを届けたかった人物が彼女の姉。
どこか壁のある姉妹二人が、この脚本というアイテムの存在によって近付けるようになるまでがお話だと思いました。
本当であれば脚本は郵送で送られるはずだったことを考えると、彼女が旅をするということ以前に、「作品を作り上げる」ということ、それを届けたいという思いからの機動力・行動力が大きな鍵になっているように感じました。
(「完璧な書式と文章で、印刷された脚本を…」という募集要項をしきりに繰り返すシーンのこともあったので。)

多くは語られない姉妹の生い立ちや、犬の存在、道中出会う善人・悪人とのシーンなど、見所もあります。
諦めないこと、努力すること、この映画が伝えたかったことはそういうことではなく、また違う場所にあるんじゃないかな、と思いました。
木村優希

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