にゃんこむ

500ページの夢の束のにゃんこむのレビュー・感想・評価

500ページの夢の束(2017年製作の映画)
3.6
並外れたスタートレックの知識を持つ自閉症の女性のロードムービー。道中は優しい人ばかりではなく、酷い事をされたりもするんですが、自身の信念のために直向に頑張る主人公を応援したくなる作品でした。

○ウェンディはグループホームで暮らす自閉症の女性で、『スタートレック』をこよなく愛していた。スタートレックの脚本コンテストに自作の脚本を応募しようとしたが、郵送に間に合わずこのままではコンテストに間に合わないと考えた彼女は、ハリウッドまで自力で脚本を届けに行くことを決意する。

道中、犬を連れていてたことでバスから下ろされてしまうシーンは『ハリーとトント』を思い出しました。
道中は苦難の連続で、他の人であれば諦めてしまったかもしれない。けれど、ウェンディはただ自分の脚本を届けたいという一心で足を進めます。

ウェンディの脚本にかける熱意とは裏腹に周囲はウェンディのこと事もあって、どこか面倒な子という認識であまり相手にしません。
ホームの管理人さんはスタートレックの知識が無いので、ウェンディが読んで欲しいと言い脚本を渡しても、中身がよくわからず困惑してしまいますし、ウェンディの姉はウェンディの癇癪持ちを心配して姪っ子に会わせるのも消極的。
障害を持ち、世間から仲間はずれになってしまっている女性が、スタートレックの脚本を通して、周囲と絆を深める過程がとっても面白い。

『フリグズビーベア』のように、物凄く大好きな物語があって、何か困った時にはその物語の人物はどうしてただろう?と自問自答して答えを導く展開って良いですよね。
スタートレックは観たことがなかったのですが、とっても観たくなる!

ラストの展開はドラマチックになるかと思いきやどこか現実的。けれど一筋の光が見えるような終わり方でとても良かったです。
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