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blindのmazdaのレビュー・感想・評価

blind(2011年製作の映画)
3.5
『現実に目を閉ざすものは、未来に盲目である』
放射能汚染された日本を5分で描いたショートフィルム。
この動画を初めてみた時のインパクトがすごかった。たった5分しかない中でも斬新な手法で強烈に訴えかけてくるメッセージ性の強さ。

3.11があったとき、私は高校時代の1番楽しいころだった。SNSを通して流れてきた原発事故の瞬間をうつした動画も一体何が起きてるのかちっともよくわからなかったし、それによって日本がどうなるか、自分にどんな影響がでるか考えもしなかったし、わからないから関心もなかった。けれど当時の知識や関心の強い親しい人たちの言葉を、わからないなりに聞いていて、だんだんわからない自分がものすごく苦しくなって、ある日とても親しい中の1人が言った「無関心が一番の罪だよ」って言葉がものすごく自分につきささった。その人は私に対して言ったわけではなかったけど、その言葉がつきささったのは「自分のことかもしれない」と感じたからだし、あの地震が起きてからものすごく調べるようになった。知れば知るほど怖いし、知らなかったことも怖かった。その人の言葉以来ショックの連続だった。
自分がこの動画を見たのはそれから2.3年後だったけど、当時のショックを受けた時の心のザワザワした感覚を思い出したみたいにとても苦しくなったのがこの映画に対して一番感じたこと。

この映画が描きたかったのは原発のことより、そのあとも平穏に生きてしまっている人々に向けた警報といえるだろう。まったくの無知識だった当時の私にこの動画をみせたらきっと鵜呑みにしただろうけど、かといって作中の表現を、過剰とかリアリティにかけるとかそういうきもちが先にきてしまったとしたら、それは盲目なのかもしれない。
判断も選択も人それぞれだからこそ情報をきちんと見極めなきゃいけない。何かを信じるも信じないも鵜呑みにするのは違くて、大丈夫かどうかは、周りが言ってるからとかじゃなく自分が決めることだろう。
ネットも社会も何が正しくて何が間違いか、ひとりひとり思うことは違うからこそ、全員に責任があるって思う。知人の「無関心は罪だよ」とこの映画の『現実に目を閉ざすものは未来に盲目である』という言葉はとても重なると思った。
ぼんやりと終わらせた結末までの展開がいまいちピンとこなかったのが残念だったけど、それでも最後の渋谷駅井の頭線とJRを結ぶ通路の壁に飾られた岡本太郎の『明日の神話』を通り過ぎ、今日もせかせかと歩く人々の図はとても感慨深い。
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