ケイスケ

サクラメント 死の楽園のケイスケのレビュー・感想・評価

サクラメント 死の楽園(2013年製作の映画)
3.0
“2014年ホラー映画ベストテン”というなんだか謙虚な宣伝。1978年にカルト教団である人民寺院を率いたジム・ジョーンズが引き起こした集団自殺事件からインスパイアされた映画です。人民寺院事件から発想を受けた作品は、ゲームですが『アウトラスト2』や『ファークライ5』などがありますね。どっちもプレイしました。

ある日、パトリックのもとに久しく連絡がなかった妹からの手紙が届く。その奇妙な内容に胸騒ぎを覚えた彼は、ウェブメディア会社VICEに勤めるサムと共に妹が暮らしているというエデン地区なるコミューンへの潜入取材をすることに。平穏に暮らしていた妹と再会して安堵するパトリックだったが、ファーザーと呼ばれるエデン地区の指導者に不穏なものを感じ取る。

人民寺院の集団自殺は現実で起きた内容が凄まじいため本作ではそれを超えれるか不安なところ。というのも「人民寺院」で検索すれば死体の山の画像が出てくるし、Wikipediaからでも900人が自殺をしてる様子のテープ音声が聞けますからね。現実でフィクションを凌駕してる事態が起きたため映画化はなかなか難しいかと。

製作にイーライ・ロスの名前があるため、かなり期待して観たのですが、やはり前述の危惧が的中。はっきり言ってしまえば中盤くらいまで淡白で眠気を誘う。逆に言うと人民寺院事件を全く知らない方が底知れなさが伝わり楽しめるかもしれません。ファーザー役のジーン・ジョーンズは良いと思う。てか役者もジョーンズかよ!

単純にPOVのモキュメンタリー形式として微妙なとこもあります。例えばファーザーが初めて出てきて信者が歓声をあげる場面は、リアリティを出すなら出てきたファーザー側にとっさにカメラを移動すると思う。なのに何故かカメラを動かさないでクルー2人を撮影してるし。

それでもやっぱり集団自殺の場面は恐ろしい。実際よりかなり人数は少なくなっていますが。もちろん全員が死を受け入れるはずはなく抵抗しながらも毒を飲まされる人もいます。それでも死ねない人は銃殺されたり焼身自殺したり…。POVの演出を批判したとこもありますが、普通の劇映画なら微妙になってた可能性があるので、これくらいの臨場感がちょうどいいのかもしれません。