回想シーンでご飯3杯いける

世界で一番いとしい君への回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

世界で一番いとしい君へ(2014年製作の映画)
3.9
本作と同じ早老症を題材にした日本映画「桜のような僕の恋人」に2.0という低いスコアを付けた僕だけど、この「世界で一番いとしい君へ」には大満足。同じ難病物でも描くアングルが全然違う。日本と韓国の映画作りに対する認識の違いが非常に分かりやすい形で表れていたように思う。

「桜のような~」は病魔に侵される主人公に人気女優を配置して彼女の苦悩にスポットを当てたのに対して、この「世界で一番~」は、闘病中の息子を支える両親の姿を中心に描いている。従ってキャストも両親が最も知名度の高い俳優だ。

特に父親役のカン・ドンウォンは、これまでのヤンチャな若者のイメージを上手く利用して、デキ婚から若くして父親になった青年を好演。早老症の息子よりも幼く見える言動をコミカルに描くシーンも微笑ましく、作品のテイストはほぼ彼が牽引しているといって良い。他にも、息子と仲良くなった老人、メールを通じて知り合った少女、闘病生活を取材するマスコミ等、ドラマの構造を豊かにする仕掛けが満載だ。

難病物だからと言って、泣かせる話として固めるのではなく、あくまで家族を含めた物語として丁寧に作り上げている。映画が国民の娯楽文化としてしっかり根付いている韓国ならではの、素晴らしい作品だ。