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LOVERSのkoyaのレビュー・感想・評価

LOVERS(2004年製作の映画)
4.5
この映画も観る度に発見がある映画です。
女1人をめぐる2人の男の物語ですが、金城君が言っているように「とてもまとまりがいい」アクションよりも、愛に惑う、苦しみや哀しみといった人間ドラマを重視しているというだけあって、前作『HERO』とは全然違う世界なんだなぁ、と。

タイトルの「十面埋伏」は、三国志の中で、「十面埋伏の計」という作戦があって、同じタイトルで、小説もありますが、これは現代中国のすぐれた警察ものでした。
多分、すぐに、あ、このことね、ってわかる人にはわかるのでしょう。

チャン・イーモウ監督が、インタビューなどで繰り返し言っているのは、「愛というのは、説明がつかないもの。説明がついてしまったらそれは愛ではない。一瞬で愛することもあれば30年経っても愛がない場合もある。理由理屈はない」

『HERO』は、群衆シーンとか、とにかくロケ壮大、スター集合だったのに比べ、この映画は登場人物3人にしぼっていて、その分、チャン・ツィイー、アンディ・ラウ、金城武にかかる比重は大きかったと思います。たった3日間の物語なのですが、いつから恋愛感情になるのか、と金城君もツィイーちゃんも監督に聞いたそうですが、監督は「理由理屈なし」と断言。さすが監督。

最後(撮影は一番最初だったらしいですが)のウクライナでのアンディと金城君の雪の中での戦いは、剣は本物を使っているそうで、剣に刃毀れがあるのが、すごくリアルだな、と思いました。
ほんの一瞬の事なんですけれどね。
乗馬も練習ほとんどなしで、はい、本番だったと、金城君は言っていましたが、いきなり駆け足とか、役者さんは大変だなぁ。
金城君、落馬して大けがをして日本で治療して、撮影に戻ったらしいです。(日本での公開舞台挨拶で「早く撮影終わってくれないか、と願っていた」とポロリと言っていました)
台本も変更の繰り返しで、日本とは全然違う中、そういう現場でもまれている中国、香港映画の俳優さんってすごいと思う。

ワダ・エミさんの衣装は、素敵。ワダ・エミさんは前作『HERO』は色の映画衣装で、この映画は模様の映画衣装だと言われていました。
梅林茂さんの音楽も、素敵。

この映画の後が、実は『ターンレフト ターンライト』で金城君はヴァイオリニスト役です。アクション苦手・・・と言いつつ言われた事はきちんとやるんですよね。ヴァイオリニストも好きですけどね。
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