ミチ

それでも僕は帰る シリア 若者たちが求め続けたふるさとのミチのレビュー・感想・評価

4.3
ただ故郷へ帰りたい。

それだけを願う若者たちの物語。


10年。

それはどれほどの長さだろう。

泣くことしか出来なかった赤ん坊が、歩みを覚え、言葉を覚え、あらゆるものを吸収して自我を形成させていく。

教育を受け、友と笑い合い、初恋もするかもしれない。

そんな年月を、爆撃や殺戮の恐怖に支配され続けている国がある。


将来を有望されるサッカー選手だった若者は、革命の歌を歌うシンガーとなり、家族や友人を殺され、前線で戦う決意をする。

彼の持つものが、サッカーボールからマイクへ、マイクから銃へと変わっていく。

屈託なく笑いながらサッカーの話をしていた若者が、「私は殉教者になりたい」と泣き叫ぶ。

彼を変えたのは、いったい誰なのか。



“世界よ、あなた方は何を待っているのだ。

あなた方が傍観していることが、我々の死につながっている。

さあ、銃を再び装填しよう。

あなた方が最後の頼りだ。”
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