ただ故郷へ帰りたい。
それだけを願う若者たちの物語。
10年。
それはどれほどの長さだろう。
泣くことしか出来なかった赤ん坊が、歩みを覚え、言葉を覚え、あらゆるものを吸収して自我を形成させていく。
教育を受け、友と笑い合い、初恋もするかもしれない。
そんな年月を、爆撃や殺戮の恐怖に支配され続けている国がある。
将来を有望されるサッカー選手だった若者は、革命の歌を歌うシンガーとなり、家族や友人を殺され、前線で戦う決意をする。
彼の持つものが、サッカーボールからマイクへ、マイクから銃へと変わっていく。
屈託なく笑いながらサッカーの話をしていた若者が、「私は殉教者になりたい」と泣き叫ぶ。
彼を変えたのは、いったい誰なのか。
“世界よ、あなた方は何を待っているのだ。
あなた方が傍観していることが、我々の死につながっている。
さあ、銃を再び装填しよう。
あなた方が最後の頼りだ。”