マクガフィン

ヴァレリアン 千の惑星の救世主のマクガフィンのレビュー・感想・評価

3.0
西暦2740年の宇宙を舞台に、銀河の平和を守るエージェントの男女が巨大な陰謀に立ち向かうSF漫画の実写化。原作未読。

ポップでオフビートな明朗快活な冒険活劇は、緩いバトルや弛緩した語り口と中二病的な会話やギャグが続く冗長があるが、惑星都市やキャラの造形のディテールのこだわりに目を見張る。既視感漂うキャラやCGのチープさが異世界だと違和感が少ないのも良い。

特に、悲劇の異星人パール人の秘境のクリアな空のような綺麗な淡い薄水色の肌と贅肉を削いだような、しなやかな肉体は秘境の少数民族イメージにマッチするかのような造形美は素晴らしい。

好みの問題もあるが、主演女優のカーラ・デルヴィーニュの魅力もお嬢様的な内面が垣間見れて強さが伝わりにくく、これまで女優の潜在能力を引き出すことに長けているが、今作はイマイチに。主演のデイン・デハーンと同様にパール人などのキャラの濃さに押され気味に。

リアーナのポールダンスの魅力とバルバドス出身の歌姫事体をメタファーになっているかのようなキャスティングの上手さに感心する。ダンスの華々しさや、色んなものに変化できることとは真逆の無戸籍者のような自分の証明がないことでの表裏の儚さや現実の厳しさは作品のハイライトになり、緩んだ作品を引き締めた理由にも。

ストーリーよりキャラや造形が重視されているのはリュック・ベッソンならではというかフランス漫画のような感じて、ミッション達成の爽快感やタイムリミットの切迫感は弱いが、だからと言って決してつまらないわけではなく、誰にでも気軽に楽しめる愉快な作品を目指してた結果だろう。
しかし、見せたいことが多過ぎるので、内容の割に137分は長く、痛快な娯楽大作なら100分程度に纏めて欲しかった。