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ヴァレリアン 千の惑星の救世主のBluegeneのネタバレレビュー・内容・結末

1.0

このレビューはネタバレを含みます

*アプリの仕様上、1より低いスコアをつけられないが、個人的には0どころかマイナス、時間とお金を返して欲しいレベルの映画だった(。・ω・。)

欧米では酷評され大コケしたと聞いていたので見ないつもりだったのだが、周囲で面白かったという人がいるし、見ないでダメと決めつけるのは良くないと思って見にいった。これまで見たSF映画の中で「プロメテウス」より「ジュピター」より「プロメテウスの次のやつ(タイトル忘れた)」よりひどかった。

まず主人公がミスキャスト。こういうスペースオペラの典型的な主人公はスターウォーズのハン・ソロかスター・トレックのカーク船長である。前者は女性に手が早く悪ぶっているが実は信義に厚いタイプ。後者は高潔な騎士タイプ。ヴァレリアンは前者に近いが、デイン・デハーンでハン・ソロぽいキャラクターは無理筋。ステレオタイプを避けたかったのだろうが、なんともチグハグで余計なノイズになった。

全体のトーンの統一が取れてないのも見ていて違和感があった。序盤はギャグも交えた軽いアクションSFのノリだったのに、途中からシリアスなミリタリーSFになる。しかもそっちに絡む登場人物には全くコミカルな要素がない。違いを際立たせるためかもしれないが、銀河ヒッチハイク・ガイドに宇宙の戦士をぶち込んで放置したら分離しましたみたいな感じ。

ストーリーのテンポも非常に悪い。序盤がイマイチでも観客がテンポを掴んだところでたたみかけるように引っ張っていけばそこそこ面白かったと思うのだが、主人公たちのいちゃつきが入るタイミングが的はずれで、いちいちストーリーの流れを止めてしまうのだ。また、司令官の誘拐からパール人との遭遇まで、つまり「アルファの中心で何が起こっているか」「パール人に何が起こったのか」という謎の解明に至るまでにどうでもいいプロットが詰め込まれすぎて退屈きわまりなかった。特にいただけないのは司令官の誘拐とローレリーヌの誘拐という、プロットの無駄な重複があることだ。しかもローレリーヌの誘拐のくだりは伏線でさえなかった。

プロットホールも気になる。ミュールのパール人が死ぬ時に思念波を放出して他の生命体に影響を及ぼすなら、惑星が破壊された時に銀河中、特に惑星の近くにいた戦艦の乗務員全員が大量の思念波にさらされたはず。この設定だとジェノサイドを隠すことは不可能だったのでは…

そして決定的にダメなのは説教臭さ。「アバター」と同じ「 聖なる野蛮人」幻想にも辟易したし、トレーシングペーパーよりも薄いキャラクターに愛について語られた日にはおへそが茶を沸かすよ!

「スペース・オディティ」とともに沢山のステーションがドッキングしていくオープニングを見たときは、言われたほど酷くないんじゃないかと期待したが、見終わってみるとあのシーンも1ミリも伏線になってない。監督の想像力自慢に延々と付き合わされたようなもので、それも豊かさに驚かされるのではなく、周回遅れに驚かされるというオチ。

脚本とキャスティングに失敗するとどんなに大金をつぎ込んでもロクなものができないと深く納得できる作品だった。
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