YukiSano

ヴァレリアン 千の惑星の救世主のYukiSanoのレビュー・感想・評価

3.3
今の若い人たちは知らないだろうが、リュック・ベッソンと言ったらかつてはお洒落映画の代表みたいな人だったのである。

それがフィフス・エレメント位から少しずつB級風味が出てきて、ついに今に至る。10作品作ったら才能が枯渇するから監督辞める宣言もしてたが無かったことになっている。

そして彼の才能は尽きたと感じていたが、珍作「ルーシー」が現れてから風向きが変わった。もはやマイケル・ベイと同じ匂いのするトンデモ監督になってきた感がある。映画芸術の探求をやめて、視覚的にやりたいことだけを攻めたような「ヴァレリアン」は最初は圧倒させられる。

所謂、ハリウッド映画に見慣れていると若干違う風土の匂いがするのが新鮮だったのだが、すぐに力尽きる。

この問題は、主人公の抱えている命題が馬鹿馬鹿しく見えるからだろう。好きな女の誕生日忘れるチャラ男がプロポーズして、愛の意味が分かるまでの冒険なのだが、共感する要素が前半まるでない。

しかも、その命題と宇宙人類を揺るがす問題が重なることがないので、チグハグなまんま。

世界観やビジュアルを見せたくてストーリーやキャラクターがおざなりになっているのは「フィフス・エレメント」と同じ間違いをおかしてないか?

特にリアーナのキャラクターは面白いが、フィフスの宇宙人歌手と似てるし、扱いが雑でびっくりした。

世界観も、最初に紹介された種族が全く絡まないし、最終的にスターウォーズとアバター、スタートレックのパクりみたいになっていく。

やはり、この手の作品はガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのような筋の通ったキャラクターと強烈なオリジナリティを兼ね備えていないと難しい。

シンプルな命題に主人公達の人生が重なりあってこそ、スケールの大きな世界観が統一され、宇宙普遍の物語として心に染み入る。ガーディアンはそれが出来ていた。

続編ないだろうけど、あるならフィフス・エレメントとユニバースを一緒にして、別の監督に撮ってもらいたいです。
YukiSano

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