マクガフィン

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)のマクガフィンのレビュー・感想・評価

3.5
「猿の惑星(1968年)」の前日譚を描いた猿と人類が地球の決する戦いを受け入れざるを得なくなる猿のリーダー・シーザーの苦悩と葛藤の物語。

共存はありえない状況で、自らの種族を守るべく仲間のために命をかけるシーザーの苦悩と葛藤に、次々と訪れるの悲劇の切実さが上乗せされてシーザーに感情移入する。
人間の愛を知っているだけに余計に切ないく、人間以上の表情豊かな感情表現をするシーザーにこれらの要素が加わり同情する演出が巧妙。

残虐や差別などの人間の愚行に頭が痛くなるが、バッド・エイプの絶妙なコメディを取り入れるバランス感覚は上手い。

「猿の惑星(1968年)」からの幾つかの疑問が解明されて、猿の惑星にリンクすることに納得。

人類を絶滅させる者は同じ人類であり、人間社会や人間のエゴイズムやアメリカへの辛辣な風刺を込めた作風は相変わらず強烈で、アメリカ合衆国国歌が大音量で流れるシーンは驚愕。
アカデミー賞の作品賞は最後のこの作品でも取れないだろう。

崇高な美しさに怒りや悲しみが飲み込まれていくような終盤の雪崩シーンは、非道を尽くした者への大地の怒りのような荘厳で前日譚として相応しい。