よしまる

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)のよしまるのレビュー・感想・評価

3.5
 3部作の最終章、完結編。一度も劇場へ行かずじまいだった。振り返ると結局、シーザーという猿にそこまで思い入れることが出来なかったのかもしれない。

 1作目「新世紀」は、旧シリーズの「猿の惑星」と仮に関係なかったとしても、物語として鮮烈なイメージをもたらし、生まれたての赤子から育っていくのを見ていれば、そりゃあ否が応にも感情移入してしまう動物ものでありSFとしても名作だったと思う。

 人間のエゴから生み出された存在してはならないケモノ。それでも一作目は尊いひとつの生命として、二作目は誇り高き種族の長として、シーザーが人間と同じように傷つき悩み、成長していく姿を見せてくれた。そして完結。

 旧シリーズに繋がる物語であるのだから、最終的に人間は猿に支配されなければならない。
 しかし、この三部作はあくまでシーザーという一匹の猿の成長譚を描くことに焦点を絞り、その一生を綴って幕を下ろす。人間が知能を失うというシチュエーションを病気という形でまとめ上げたのはお話としてはやむなしで、明らかにカーツ大佐をひとつのモデルとしたウディハレルソン演ずる大佐の人間としての誇りを全うした生き様もまあまあ見応えはあったのだけれど、このエンディングから旧シリーズ一作目へは飛躍が過ぎると思わざるを得ない。

 猿の惑星の前日譚を描こうという意欲が、最後の最後に、こう繋がるのか!という驚きを期待した向きにはいささか食い足りなさが残ってしまったのが残念だ。

 シーザーに最後まで付き纏うコバの影、相対する種への対峙が、復讐心を超えたところにどう決着をつけるのかという部分も然り。人間と心を通わせた一作目のシーザーの出生からはずいぶんと遠く離れた場所へ来てしまったのだなぁと、とても悲しい気持ちになった。切なく、思い入れるほどに、虚しさが募る。
 ここからもう一歩、旧作への橋渡しとなるフックが欲しいと思うのは、わがままに過ぎるだろうか。