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キル・ビル Vol.1の東京キネマのレビュー・感想・評価

キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)
3.9
この作品で深作欣二にDedicateしてくれたり、ソニー千葉を尊敬していると公言してくれたりと、日本人の自尊心をくすぐってくれるので結構嬉しくなったりするんだけど、コンセプトが東映ヤクザ映画でエッセンスがマカロニ・ウエスタンで最後の味付けがカンフー映画だと、結局何がなんだか解んない訳で(笑)、だったらそれ以上タランティーノに何を望むんだってことになるんだが、それさえ承知していればそれはそれで十分楽しめる映画だ。

ルーシー・リューの“ヤッツィマエナア~”とか、落ち武者切りとかお笑いも沢山あるし、無駄にデカいだけの日本家屋のセットを楽しむもよし、結局アメリカ人だとこういう解釈しかできないよなあ、とカンフー式剣劇にため息をつくもよしで、色々と楽しめる。 それに、タランティーノの映画を見ていると脳が全く働かない、というのもいつも通りだ。(笑)

タランティーノは現代のエクスプロイテーション映画をやりたかったんだろうと思うけど、それにしてもちょっとやり過ぎだ。 この素晴らしい独特の映画センスと凄まじいエネルギーをこんな馬鹿騒ぎに傾注するんじゃなくて、もうちょっと違う方向で活かせないもんかとも思うが、それじゃタランティーノじゃなくなっちゃう訳で、結局タランティーノらしい佳作でしたとしか言いようがない。
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