すずき

キル・ビル Vol.1のすずきのレビュー・感想・評価

キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)
4.1
元凄腕女殺し屋の主人公・通称ブライドは、闇社会から足を洗い、カタギの男と結婚式を挙げる予定だった。
しかし、彼女と同じ殺し屋チームだった同僚達が結婚式に乱入、その場にいた人間全てを殺し、妊娠中だった彼女のお腹の子も殺され、彼女自身も意識不明の重体を負わされる。
4年後、病院で目覚めた彼女は、殺し屋達のリーダー「ビル」と4人の殺し屋達への復讐を開始する…

祝!タランティーノ監督作品鑑賞コンプリート!

オタク番長、クエンティン・タランティーノ監督の、マカロニウエスタン、カンフー映画、そして70年代日本の活劇時代映画、ヤクザ映画、ジャパニメーションへの愛が爆発した痛快アクション映画。
今作は、二部作の一作目で、殺しの標的5人のうち2人を殺す所までが描かれる。

タラちゃん映画の中でもおそらくトップクラスのマニア度なので、私はこの映画を、彼の監督作品の中では最後に見ようと決めていた。今作の元ネタ(の一部)は「影の軍団シリーズ」「修羅雪姫」「子連れ狼」…どれも見てねーよ!
それらの作品のマニアックなネタ、オマージュがいっぱいなので、タランティーノの作風を知らない人がうっかり普通のアクション映画だと思って観てしまうと、「?」になるかもしれない。
昔々の朧気な記憶だけど、TVCMとかでは一般大衆向けアクション映画のよーな売り方をしていた…よーな気がする。
しかし、前述の通り、この映画はマニアック。映画館で観て、タラちゃんのノリについて行けた人は果たして何割ぐらいだったのだろうか…?

「タランティーノ節」を感じさせる、独特の会話劇の面白さや、一見ミスマッチなようで、ぴったりハマるBGMの選曲センスも相変わらず。
そして今作ではキレのあるバイオレンス剣戟アクションも楽しめる!
ブルース・リー風の黄色いジャージに身を包み、高身長モデル体型のユマ・サーマンがアクションするのは絵になるね―。

最大の見せ場は、殺人集団「クレイジー88」との1対多数の大立ち回り!
時代劇のクライマックスの様に、切って切って切りまくり、様々なオマージュとアイデアを駆使した殺陣は観ていて飽きない。
そしてまん◯画太郎先生の漫画みたいにズバーッと血が吹き出る!血の気の多い人達だ。

中ボスポジションの、栗山千明演じる美少女女子高生殺し屋「ゴーゴー夕張」というブッ飛んだバカ映画みたいなキャラクターのインパクトも凄い。おまけに、彼女の武器は鎖付き鉄球!もひとつおまけに、鉄球から刃が生えて、空飛ぶギロチンみたいに変形するギミックも!SEも絶対空飛ぶギロチンを狙ってるよね…

しかし、よく分からない点が一つ。
何故かこの映画、主人公・ブライドの過去を差し置いて、標的の一人であるオーレン・イシイの過去だけやたら詳細に語るのだ。しかも気合の入ったアニメーションで!
せっかく魅力的なキャラクターばかりなんだから、他の殺し屋の過去も描いてほしかった!

「キル・ビル Vol.2」に続く…