クエンティン・タランティーノが、すべてがサンプリングであることを隠さず趣味趣向を全快に打ち出したのが本作。
映画のヒップホップとかミクスチャー世代とか色々言われるやつ。確信的にマニア向けなつくりの本作によって彼は世界的に確かなファンを獲得するわけだが、私に言わせてもらえば長回ししか見るところはない。
深作欣二も鈴木清順も池玲子もブルース・リーもハワード・ホークスですら、私にとっては大勢いる映画人のひとりに過ぎない。そしてそれはタランティーノも例外ではない。クラッシックだろうがロックンロールだろうがミクスチャーだろうが、同じ映画なんだから、そこに差はない。だったら作り直した小綺麗なほうより、ざらついた古いもののほうが楽しいし、類似品よりも愛を注げそうな気がする。
無ければ無いで困らないどうでもいいような作品だが、この映画が界隈で話題になったおかげで、長らく観る手段のなかった元ネタのマイナー作品のソフト化が実現したという意味では、文化的な貢献に感謝はしている。