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サリヴァンの旅のほーりーのレビュー・感想・評価

サリヴァンの旅(1941年製作の映画)
3.6
スタージェスといえば「大脱走」のジョン・スタージェスの方が印象強いけど、偉大なスタージェスはもう一人いる。

スクリューボール・コメディを得意としたプレストン・スタージェス監督の代表作である「サリヴァンの旅」を一言で言うならば……

コメディ万歳( ノ^ω^)ノ そんな映画です。

笑いこそ人間にとって必要不可欠である、だから私は喜劇を撮り続けるんだ!!というスタージェスの気概が感じられる作品。

でもその後のスタージェスの不幸を考えると素直に笑えない部分もある。

主演はジョエル・マクリーとヴェロニカ・レイク。

あらすじは、ジョン・サリヴァン監督がコメディばかり作らされることに嫌気がさし、次回作は貧困をテーマにしたシリアスなドラマを作ろうとするところからはじまる。

それまで貧乏を経験したことなかったサリヴァンは周囲の反対も聞かずにホームレスの扮装をして実態調査を開始するのだが……。

このサリヴァンの人物像がまるでスタージェス自身を投影しているような感じがした。

裕福な幼少期をすごし、ブロードウェイ、ハリウッドと持ち前の才能で挫折もなく順調にキャリアを築いたスタージェス監督の姿はまるで本作のサリヴァン監督のよう。

サリヴァンが調査終了後、貧困の現状を見かねて浮浪者たちに紙幣を配るシーンがある。これがかえってサリヴァンを窮地に追い込むことになる。

実際にスタージェス監督は、撮影中、キャストやスタッフがいいアイデアを出すとポケットマネーでチップを渡したり、スタッフたちの食事を全部奢ったりしていた人で、かなりの浪費家だったという。

本作撮影時は全盛を誇っていた頃だが、こののち前述の浪費癖やヒット作が出なくなったことで、ついにはハリウッドの仕事を失うはめになってしまう。

こう考えると、本作の後半の展開はまるでその後の監督自身の顛末を予期していたようで、ちょっと観ていて悲しい感じを受けた。

とは言うものの序盤はスラップスティック・コメディとしては最高の出来で、サリヴァンを心配して随行しようとするスタッフを振り切るために、違法改造車(しかも運転は未成年者だぜ!)に乗って逃走するシーンなんかは思わず声を上げて笑ってしまった。

あと浮浪者姿のヴェロニカ・レイクがとっても可愛くて印象的だった。

■映画 DATA==========================
監督:プレストン・スタージェス
脚本:プレストン・スタージェス
製作:プレストン・スタージェス/ポール・ジョーンズ
音楽:レオ・シューケン/チャールズ・ブラッドショー
撮影:ジョン・サイツ
公開:1942年1月28日(米)/1994年6月4日(日)
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