ノラネコの呑んで観るシネマ

あの日のように抱きしめてのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

あの日のように抱きしめて(2014年製作の映画)
4.3
去年と今年は多くの国が戦後70年な訳で、戦争や戦後モチーフの映画が多いが、これはドイツならではのユニークなアプローチの作品。
主人公は顔に大怪我を負いながらも、ナチス絶滅収容所から生還した女性。
整形手術で新しい顔となった彼女は、生き別れの夫を探し当てる。
ところが彼は彼女の事が分からないばかりか、妻は死んだとなぜか確信している。
そして、あろうことか妻の遺産を騙し取る共犯として、風貌が“似ている”彼女に妻を演じて欲しいと誘うのだ。
はたして嘗ての夫の愛は本物だったのか、それともナチの手先となり、妻を売った裏切り者なのか。
これは二度と帰らない想い出に囚われた女が、自らの意思で戦後を生きるまでの物語。
クルト・ワイルの名曲「スピーク・ロウ」が主人公にとって重要なキーとなる。
じんわりと余韻が残るオチが非常に秀逸で、ラスト・シーン・オブ・ザ・イヤーをあげたい。