踊る猫

WE ARE YOUR FRIENDS ウィー・アー・ユア・フレンズの踊る猫のレビュー・感想・評価

3.4
悪い映画ではない。観たあとこちらをポジティヴな気持ちにさせてくれる良作だと思う。テーマは「這い上がれるか」だろう。落ち目の DJ や彼を慕う主人公、うだつの上がらない女性やボンクラな友人たち(「WE ARE YOUR FRIENDS」!)。誰も彼も栄光とは無縁の、「どん底」を生きている。そこから彼らなりに再起を賭けて這い上がろうとするその格闘を見せるという意味では成功している。真摯なメッセージが伝わって来る。だが、この映画はメリハリがないのだ。ケン・ローチやダニー・ボイルといった監督が撮っていたら彼らの「どん底」をもっと丁寧に掘り下げて描いただろう。別の言い方をすれば、音楽に頼ったが為にそうした描写を端折ってしまって旨味が台無しになってしまった印象を受ける。音楽は文句のつけようがないので、これもまた音楽映画の悪い面がロコツに出てしまったかな、と残念に思わせる。音楽版の『ロッキー』のような映画。
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