オトマイム

ディーパンの闘いのオトマイムのレビュー・感想・評価

ディーパンの闘い(2015年製作の映画)
4.0
1983年から2009年まで続いたというスリランカ内戦について恥ずかしながら何も知らない。でも本作は内戦については余り触れず、家族を装いフランスに逃れた3人のタミル人の生活にスポットを当てたドラマなので知識なしでもついていける。
近年難民を扱う映画は一気に増えた感があるが、本作のディーパンたちは住む家や仕事を与えられ娘は学校に通うなど法的に庇護されており、恵まれている方だとは思う。とはいえその地域は治安が悪く言葉の壁もあり、様々な問題が続出する。

他人同士が家族として同じ屋根の下に暮らすというストレス。言葉の通じない見ず知らずの土地に馴染めない辛さ。彼らの苦悩と不満がじわじわと噴き出る。この3人は本職の俳優ではないこともあり、特に前半はドキュメンタリーをみているようだった。

静かに展開する序盤・中盤から一転して動のクライマックスとなる終盤、そして神々しいまでの光溢れるラスト。ジャック・オーディアール監督は美しい作品を撮る。胸に沁み入るような作品だった。