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神のゆらぎのarchのレビュー・感想・評価

神のゆらぎ(2014年製作の映画)
3.0
「飛行機が落ちるのは、全能の神が存在しないからだ」

墜落する飛行機を数多の人間の人生が収束し、変化していく様を描いている群像劇となっている。この物語は根底に「神の存在」についての問題提議があり、そのテーマをなにより体現するのはエホバの証人を信仰している女性である。
全体として偶然性や運命論の話をしている中、彼女のエピソードがあることでその神の存在についての物語に昇華しているように感じた。
そして全ては墜落する飛行機という死に収束する中で、彼女だけがその先の人生を描かれている存在であることも興味深い。

信仰は得てして人を苦しめるのだと、再確認する中で運命に抗うこと、また決断することが決してそれだけど救いとなるとは限らないのだと、最後には突きつけられ、思えば本作のあらゆる人間が決断をしたが、その行為のほとんどが救いと言えたのかは分からない。
そういった意思の元で抗うことを良いことに描きながらも一方で残酷な結末もあるのだと本作は語っているように思う。
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