ベルサイユ製麺

神のゆらぎのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

神のゆらぎ(2014年製作の映画)
3.9
カエルの代わりに飛行機が降ってくる『マグノリア』。「こういうこともある。あり得ることだ」
偶々乗り合わせた人々には因果関係はほぼ無くて、それぞれの物語が有るだけなのだけど、それを編み込んでいく構成が抜群です。『イレブンミニッツ』ほど冷酷(露悪的?)でも無くて、優しい眼差しも猶予も与えられるのだけれど、救われはしないのですよね。失なう者と、酷く喪う者しか描かれないという…。
物語の大きなテーマでもある“信仰心”については、日本人には一番理解しづらいポイントだな、といつも思います。生まれつき何かが違うとしか。フィクションでもよいので、客観的に納得できる“信仰による救済”の例を見てみたいです。
グサヴィエ!の、理知的に自分を律する程に滲んでしまう蒼白いエロスに、心を強く揺さぶられました。撮っても、演じても、想定以上の何かが立ち昇ってしまう事がグサヴィエを天才たらしめていると感じました。素晴らしい!
カナダ映画の新しい波も確かに感じましたし、個人的には文句の無い作品です。シネフィル的にはどうなのか分かりませんけどね。