うめまつ

グランドフィナーレのうめまつのレビュー・感想・評価

グランドフィナーレ(2015年製作の映画)
4.6
寝ても覚めてもラグジュアリー。画面の隅々にまで行き渡る上質感。洒落てるのに染みる極上の台詞が金の粉を纏って降り注ぎ、その合間を絹の河のように美しい音楽が流れる。この心地良い世界でずっと微睡んでいたい。この映画を織物にしたらうっとりするほど気持ち良い肌触りだろう。きっと一生手離せない。

自然豊かなアルプスの高級リゾートホテルで、毎日プール→サウナ→マッサージ→散歩→ディナー→ライブ鑑賞のループ生活。見てるだけで脳が蕩けてくる。ここは楽園か?贅沢なロケーションを余すことなく切り取った流麗な絵の中で、あらゆる人物が呼吸するように気の利いた言葉を紡いで行くので、眼と脳の幸福度が異様に高い。特に仲良しおじいちゃん2人の会話が最高でもうずーっと聴いていたい。80代になっても「良いこと」しか話さない友情なんて素敵だな。

若さとは魂の鮮度のこと。日々古びてゆくこの身体はただの容れ物で、命は使い果たすその日まできっと何度でも1日目の朝を迎えることができるのだ。私もいつかこの重たい諦念を脱ぎ捨てて、暗幕を開くように夜を終わらせることができるのかな。

君主制はチャーミング、自然を奏でる指揮者、踊るマッサージの娘、丘に広がるカーテンコール。示唆に富んだ場面が煌めくビーズみたいに散りばめられて掬いきれない。でもどれもとびきり魅力的で、中身を知らない綺麗な包み紙のプレゼントを見ているみたいにドキドキする。この甘くほろ苦い余韻をふわふわの抱き枕にして眠っていたい。もう少しだけこの夢から醒めないように。