Ryosuke

サウルの息子のRyosukeのレビュー・感想・評価

サウルの息子(2015年製作の映画)
4.2
背中の大きく赤いバッテンが指し示すのはガス室送りを束の間に間逃れているという印なんでしょうが、生も、人としても全てを否定された存在であることの証でもあるように思える。
さらには、三人称視点による、サウルの視界の範囲が共有されることで周囲全てを見ることは出来ずともはっきりと地獄のような絶望的状況はどこまでも開ける見込みは無いのだ。と冒頭から諦めに達する。
ゾンダーコマンド。全くもって濃霧に包まれている状況で、葬儀を正式に行う、という力強い生の執着心、全存在意義を消しにかかってくる巨大なシステムの中で自我を貫かんとする死への抵抗の力強さに胸打たれた。それはサウルだけでなくて。
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