kyameru

サウルの息子のkyameruのレビュー・感想・評価

サウルの息子(2015年製作の映画)
3.7
カメラフレームの枠が映画全体で終始あって、レンズを覗き込んだような視点で展開する。1917は、そういうコンセプトで撮りました、ということだけで擬似ワンカットの効果を感じなかったけど、こちらの映画ではもっと視点の誘導が主人公と物語の描かれ方と効果的にマッチしていて、頭いいなあってなった。

ただ僕の無学のせいだとは思うけど、恥ずかしくもなく言えば、主人公が何がしたいのか、正直わからなかった。でももし、この主人公が、もっとこのゾンダーコマンドの環境に直接的にあらがい何かを起こすような人が主人公だったなら、このふらつくような視点の意味はあまり無かったように思う。この主人公の混乱と説明できない人間の行動は、この主人公以外がぼやけてて、近づくとはっきりする、あっちに行こうとして連れられてこっちに行くような視点の不安定さによってこそ表現されえるのかもしれない、と思ったので、その表現の新しさに高評価にすることにした。
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