enchan

サウルの息子のenchanのレビュー・感想・評価

サウルの息子(2015年製作の映画)
3.5
収容所に"ゾンダーコマンド"なんて人がいたのは知らなかった。勉強になりました

この作品の良いところはただ民族差別・戦争を繰り返さぬようとするだけでなくて、主人公が何か1つの使命のようなものを見つけて(本当は主人公の妄想でしかないけど)人間の扱いを受けずとも人間らしさを取り戻しているという所にもあるのではないだろうか
ドイツ語を少しかじってたので、字幕の無いところでも"arbeite!(働け!)"という怒号が飛び交ってるのが理解できた。それを見ていてなんだか、死んだ目をしながら機械のようにESを書いては面接を受けていた就活時代を思い出した。"arbeite!"とは聞こえないけど、「まだ受かんねえのかよ!?」と言われてるような地獄。(戦争に比べりゃ可愛いものだろうが) でもそんな中でも頑張れたのはやっぱり自分だけの目標があったからであって、自己に存在論的意味合いを与えてくれていた。最終的にその目標は達成できなかったけど、自分の本来の力以上の力を引き出してくれるような動機付け(例えそれが下らないものであろうと)、その大事さってのを改めて感じた次第。
enchan

enchan