ようすけ

ロブスターのようすけのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
4.4
一昔前に動物占いというのが流行ったな。ちなみに自分はコアラになりたいライオンだった。レッサーパンダはいいよねぇ。二本足で立ち上がっただけで皆様の歓声があがる。

やはり最後の一分。これが状況からかとても長く感じられる。主人公がどちらの決断をしたのか。見始めた頃はとんでもない恐怖の合コンパーティーだなぁとむしろコメディを見るような感覚で見ていたが…………。共通項を見つけて結婚しないと動物に変えられる、なんて言うのもとんでもない設定だが、おふざけではなく見ていてすんなり受け入れられてしまうのは作品の持つ空気感か。見事カップルになった後のお試し期間で、喧嘩の仲裁のために子供が手配されるのは笑えた。
パートナーの必要性を訴える講演もツボに入った。いやぁ、確かにそうだわな。
けれどここを面白おかしく描いているのは同調圧力への皮肉かな。
最後の日に人間しかできないことをすることを勧められるのは深い。人間以外の動物にも生殖行為はあるわけで。それでもそこに愛情があるのかというと…………まぁ、動物にもよるのか。

とてもシニカルに風刺を誇張して描いている。

さて、最後の一分について。
ここまでの描き方からすると、より刺激的なラスト後なのだろうと思うが、どう転がっても衝撃的。

それにしても、共通項は体についてのことであり、趣味とか考え方とか大切にしたいものとか、そういう内面的なものではないのね。

自分はあの後目を潰して人間として一緒に生きている道を選んだと思う。身体的な共通項にくくることについての最大の皮肉になる。彼女からしたら待ち時間は長く感じる。観ている我々もヤキモキしてしまう。そういう心理的な長さを描いただけで、実際はあっさりやってしまった可能性もある。

ただ、「愛していないのに愛しているふりをするのは難しい」という劇中の言葉が気にかかる。支配人にパートナーに向けて空砲を撃たせるリーダーは愛なんてそんなものだと言いたいのだろう。

分からない。が、海の音は混乱させるためのミスリードではないか。ヒントだと思ったら痛い目にあいそうだ。

どちらともとれる。けれど俺はロブスターにはならないと思う。
ようすけ

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