Yuri

ロブスターのYuriのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.5
真実の愛なんてなくてもいい、信じないと、明け透けに思っているのに、カップルにならなければならないホテルでも、シングルでいなければならない森でも、愛に翻弄され続ける人間の姿を描いた悲しくて可笑しいシュールなお話です。レイチェル・ワイズがたどたどしく歩く姿シーンが滑稽なのに堪らなく悲しくて、泣きそうになった余韻が残っています。愛を制限されたり強要されたりする世界だと、愛を見つけることに必死になり過ぎて、愛を育む心を忘れてしまうのかな?愛は互いに補い合うもの、認め合うものという認識がすっぽりなくなった世界観で、“同じ”でいることだけが愛の証明になるかのように必死な彼らを観て、愛は必要でも不必要でも人間でいる限り、死ぬ瞬間まで翻弄され続けるのだなと、それは温かなことのはずなのに絶望的な気持ちにさせられる不思議な作品でした。それなら、シンプルに気が合う、タイミングが合うことで誰に咎められることなく一緒にいられる動物になった方が良いのかもとさえ思ってしまいました。ロブスターにそれが可能かはわからないですけど(爆)鼻血が出やすいカップルも少し太った中年カップルも、相手に全部を委ねられない日々の中で心がヒリヒリしないのだろうか?デヴィッドは最後に鏡の中に、真実の愛を見つけたのか?それともフェイクを真実と信じる道を選ぶのか?何故か、足が折れたラプンツェルと視力を失った王子の話が頭に浮かんで、離れない紛れもない愛の問題作。