Yoko

ロブスターのYokoのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
4.0
突然、妻から別れを告げられた男。
男を迎えに来たバスは一路、人里離れた山中のホテルへ走る…。


愛の成就、または愛の証明のために、両者の間で徹底した同質性が求められる世界。
なんでもかんでも一緒じゃなければいけないという強迫観念、理屈抜きでそう思考せざるを得ない作中人物を観ていると、今作は多様性が容認されない世界でもあるのか。
同じ服を着たペアルックのカップル(最近そういえば見ないな~)程度の同質性ではなく、我々からしたら度を超している同質性がもはや常態化していう世界がこれほど怖ろしいこととは。
最愛の人を愛する自分、そして「常態」に毒された自分との間で揺れ動く葛藤が描かれるラストはなかなか震える。
二人の同質≒対称性が求められる世界の画作りも異様に端正、コーエン兄弟作品よりもキューブリック寄りでジャストミート。
どことなくロシア語が似合う共産主義国っぽさがあり、英語圏の国とは思えない窮屈な感じも〇。
そんな奇妙な世界でも結構笑えるところがあり、自分が求めているブラックコメディはまさにこういうのだなぁと思える良作だった。
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