Kou

ロブスターのKouのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
4.3
カップルでないと45日で
動物🐕に変えられてしまう世界。
そんなトンチンカンな世界で
重要視されているのは、
彼女(彼)と
どれだけ(共通)であるかということ。

鼻血が止まらない女には
鼻血が止まらない男を。
心ない女には心ない男をってな具合にね。



同一こそが運命、共通こそが愛だ
という世界で生きようと、
相手に合わせたいがために
鼻をぶつけ続ける男と、
心をなくしたふりをする男の
なんと浅ましく滑稽なことよ。



でもこの浅ましいことを、
形をかえて僕らもやってるっていうのが
皮肉めいてて面白いよね。
好きな人のために趣味をかえてみたり
考え方を合わせたりとかっていうのも、
つまりはそういうこと。結局一緒なわけ。



この監督はそういった人間のパーソナルな部分を
気持ちわる~く描くのがうますぎる。
そしてそこがたまらなくいい。最高。



そして、本作で一番注目すべきポイントは、
そんな不条理な世界から逃げ出した
主人公デヴィットが
シングルゲリラ
(恋愛禁止のサバイバルグループ)で
出会った”近視”の女とのあれこれ。



近視のため眼鏡をかけていたデヴィットは、
同じく”近視”をもった女と出会い恋に落ちる。
しかし、二人の様子を怪しく思った
シングルゲリラのリーダーに
”盲目”にされてしまう彼女。



”近視”→”盲目”となり、
共通(≒運命の相手)でなくなった彼女を想い
ナイフを持ちトイレに入ったデヴィットは
どういう決断を下すのか。



つまり、一度見つけた運命の愛のために、
再び”盲目”という共通点を結ぶことができるのか?
という逆説的な問いこそ、本作のテーマ。



ラストはデヴィットがトイレから戻るのを
心待ちにしている盲目の彼女を
(一分超のワンカット)で映してエンドロール。
何とも言えない間と雰囲気でしたが、
皆さんはあの後どうなったと思いますか?



ここからは正解も不正解もないので
自分の考察にすぎないのですが、
まず、盲目かエビ🦐かの二択を
目の前にして自分が思ったのは
「ばかばかしい」ということ。



彼女をもう一度運命の相手と思う
(思い込む)ために
自らの目にナイフを突き立てる?
「ばかばかしい」

たかが近視じゃない(共通でない)だけで
彼女をあきらめロブスターとして過ごす?
「ばかばかしい」



そこで、ふと気づいたのは
この「ばかばかしい」という感情こそ
監督が伝えたいことなんじゃないだろうか、
ということ。

相手と一緒であるかどうかなんて
どうでもいいじゃないか、
取るに足らない「ばかばかしい」こと
なんじゃないかって。



どれだけ”一緒か”で愛を測るんじゃなくて
どれだけ”違うか”で愛を測るべきなんじゃないか。
つまりは(どれだけ違うところを愛せるか)
なんじゃないかって。



趣味や考え方が同じなのは
確かに大事かもしれないけど、
一番大切にすべきはそこじゃないんだよ、と
監督は伝えてくれているのかもしれませんね。
あーーー、面白かった!



(おまけ)
本作を観てメイドっていいね🤔
って思いました、思っちゃいました!
男なら分かってくれるよね?
あと、あんま独身をいじめないで〜😱



2019年8月21日 32本目
Kou

Kou