原作を一巻で切ったことを後悔。
でも、映像であるからこそ、よりうまく競技かるたの魅力を表現できていると思う。
わたし自身も小学校のときに、授業でカルタに触れて、外部の競技かるたの大会に出たりしていた。この映画の中で上の句が読まれると、頭の中で下の句を思い出し、札を弾く。本当にスポーツ。
中高大とあがるうちに、かるたからは離れてしまったけど、今でも百種全て覚えている。子供の時に覚えたことって、大人になっても忘れない。
無意識に思い出すこと、ずっと覚えていること、これを恋と重ねるか!!!!うますぎる!!!なんだこれ!!
元々バスケ部で、プロも目指していたほどのスポーツ少女広瀬すずをちはやに選んだことが、この映画の中で効いている。
追い込まれたときの焦り、自分の中で切り替えたときの目つき、仲間を思う心、たぶん広瀬すず自身で共感できる部分が多かったのか、本当にうまく主人公を演じている。天真爛漫なのもかわいい。
真剣な眼差しが良い。
他のキャラのキャスティングも、公開前は批判されていたように思うけど、公開後からはその批判がスッと消えたのが納得。ぴったりだった。
原作から改変されているけど、わたし的には映画版の方が好き。それぞれの葛藤の要素(親からのプレッシャー、貧困、姉との違い)をそぎ落とし、かるたと恋愛という焦点に絞られているのが良かったのかも。分かりやすかった。
スローモーションが、他の映画と比べてもめちゃくちゃ綺麗。効果的に使われている。どういう技術が使われているか分からないけど、ドラマ「Nのために」「リバース」などの、ドリマックス塚原あゆ子演出を思い出す。スローにすることを前提に撮っているのかしら。
音楽は同ドラマの横山克。さすがでした。劇伴音楽の作曲家の中で、日本一だと思う。本当に大好き。
太一の運命戦のシーンは、うまい!うまい!うまい!しか言っていない。ドラマチックだけど、チープにならず、人の心を摑む。
競技シーン。躍動感と静けさという、競技かるたが持つ、対極の二つの空気感をうまく抑揚をつけながら描いている。
畳越しのキャラの顔のカットや、かるたに浮かぶ紅葉や文字が、競技者の心情を分かりやすく表現している。
百人一首、競技かるたって素敵、改めてそう感じる。
下の句の真剣佑、松岡茉優の活躍に期待!