MasaichiYaguchi

TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

4.0
宮藤官九郎さんの脚本&監督の最新作は、笑いとロック音楽に溢れていて理屈抜きに楽しい。
不幸な事故に遭い、死んで地獄に行った平凡な男子高校生・大助が、大好きなクラスメイト・ひろ美ちゃんと再会する為、地獄で出会った赤鬼のキラーKと輪廻転生を懸けて悪戦苦闘する様をコメディタッチで描いていく。
地獄というと、髑髏が転がり、深紅の空と炎に覆われ、罪人たちが犯したことを購う為に様々な責め苦を味わう所というイメージがあるが、本作で描かれた世界は何処かコミカルで思わず吹き出してしまう。
好きな女の子との恋愛も経験しないまま、地獄に突き落とされて悶々とする大助を神木隆之介さんが、10代の男の子の心情を代弁するように演じていて共感する。
そして大助にアドバイスしたり、救いの手を差し伸べる地獄専属ロックバンド「地獄図(ヘルズ)」のギターボーカルのキラーKを、ミュージシャンであり、俳優でもある長瀬智也さんがハイテンションで演じている。
この「地獄図(ヘルズ)」によるデスメタルが鳴り響いたり、ロック魂溢れる台詞やストーリーで展開される本作はロック・コメディと言って良い。
だから主演の長瀬さんや神木さん、尾野真千子さん、森川葵さん、桐谷健太さん、清野菜名さん、宮沢りえさん、古田新太さん等の俳優たち以外に、シシド・カフカさん、Charさん、ROLLYさん、マーティ・フリードマンさんというミュージシャンたちも多数出演している。
「グループ魂」として音楽活動もしている宮藤監督らしく、この作品では思いを伝えるものとしての音楽の素晴らしさが柱になっていると思う。
大助やキラーKの純愛と呼べる愛する人への一途な思いが、音楽と共に作品から伝わって来て心に温もりを残します。